ハイスペック・バカ

未読者向け「ひとつ海のパラスアテナ」ネタバレ配慮感想文


 海は、父親のように全てを与え、母親のように全てを包み、妻のように全てを奪う。
 今適当に考えました。

 海というのは不思議な存在です。地球上の七割を覆い、全てが始まった場所であり、今でも沢山の恩恵を我々は受けています。
 地上から上空十キロくらいは普通に飛行機が飛ぶし、なんなら地上400キロ上空に人がいるというのに、海底となると数キロ程度でもう限界。たかが百メートルですら簡単には降りられません。未だに一番深い海底には着地出来てないんじゃなかったっけ。ちょっと前には飛行機が海の真ん中に墜落してしまった時に探すのにえらい苦労していたという事件もありましたし、これだけ移動手段が発達しても未だに海の広さは健在です。
 そして適当に書き始めたはいいものの話広げ過ぎてうまく本題に着地させられなくなったので唐突に本文に入る事にします。海って広いね!

 今回の感想文は電撃文庫から2015年2月10日に発売された、「ひとつ海のパラスアテナ」です。第21回電撃小説大賞の大賞受賞作品です。
 ここのブログを良く読んでおられる数人(そんなもんだろ)の方は御存じかと思いますが、「無人島には何も持っていかない」とか「鳩時計が僕をつつくフィルム」でおなじみ、すたさんの小説家デビュー作です。
 友達の作品なんだから応援するよ!お祝いだよ!カーニバルだよ!と適当にわいわいと変な宣伝ツイートをやってましたが、いざ実際に読んでみたらその直後真顔。
 これは、本当に面白い作品です。
 友達補正とかはありません。強いてそれが発生するとしたら「熱心にラノベ読む訳でもない僕が発売日にこの本を買おうと思い、そして出会えた事」くらいのものです。
 なので、結論は「今すぐ本屋へ走れ、そしてレジへ本持っていけ」なのですが、少しでも興味を持ってもらえるように、少しでも多くの人に読んでもらえるように、微力にも程がありますが、ここで感想を書かせて頂きます。

 ネタバレ感想に関してはまた後日別エントリで書かせて頂きますので、今回は読んでいない人に向けた内容となっております。

 あらすじは公式サイトとか見て下さい。とにかく海に覆われてしまった時代で、主人公ががんばって生き抜く話です。インタビューとかPVとか推薦文とか色々あるから一度は見ておいた方がいいです。
 PVだけ貼っておきます。どうでもいいけどこのPVの「応募総数 5,055作の『頂点』」ってところで何故か泣きそうになります。



 
 この作品で僕が一番好きなのは、本当の意味での命の大切さとか、尊さとか、そういった事をすごくナチュラルに描いているところ。ドラマチックな「最愛の人の死」も、命の大切さという点では重要ではありますが、もっと広い意味での生命が描かれているように思います。全ての生き物は他の生き物の生命を糧として生きているという事を、本当に真っ正面から描いています。
 戦争や戦闘を主題に扱わない作品にしては(まあサバイバルだって言ってるのである程度予想はつくかもしれませんが)「死」に触れる機会が非常に多いです。小さなところでは食べる為にとらえた生物の命を奪うところから、それこそ大事な人を失うところまで、様々な死に主人公たちは直面します。しかし、この作品中での死は、ほとんどが次の命へ引き継がれるように描写されます。無駄な死はひとつもなく、全てが何かに繋がっていくという事が実に端的に、冷静に、けれど優しく表現されています。
 キャッチコピーの「生きる為の戦い」については割と誇張抜きです。本当に主人公は命の危険に何度も襲われ、敢然と立ち向かいます。それは、そういう世界だから。そうしないと生きていけない世界だから。それもまた、作品において必要で、重要な事。
 ただ、戦う相手がストーリーが進むにつれて変化していくのですが、そこは読んでみてのお楽しみ。

 そして海の描写が実に細かく、美しい。
 作中の緊迫感の緩急は常に海の状態と共にあります。順風満帆な時は、キラキラと美しいエメラルドグリーンの海原が広がり、言葉通りに船は進むし色々な発見もあるし、楽しい時間が流れます。そしてそこから序盤の作品説明にもある「白い嵐』からの漂流に至るまでのシーンでは一変して死と隣り合わせの恐怖のモノクロ世界に。極限の世界で生きるアキの描写は、海に出た事がない僕ですらその恐怖と緊張を味わえました。海行きたくなくなったね。元々行かないけどね。
 他にも漂流時の凪や特異な気象等もそれぞれのシーンにアクセントとして常に描写されます。陸のない世界で、海だけがその世界の様相を知っているように。
 海の描写が、背景描写であり、全体の心理描写であり、BGMであると言えます。

 海の描写に負けないのが、独自のアフターの世界観。
 フィクションの世界で大事なのは(個人的な概念ですが)「大きな嘘という皿の上に、たくさんの細かい真実を並べて、その中にちょっとずつ小さな嘘を混ぜ込む事」だと思ってて、そうする事でどこまでが作品の嘘なのかがわかりにくくなってリアリティが増します。
 とにかく最初に「この世界は陸がないよ」っていう大嘘がドンと眼前に広がってしまうので、強烈な異世界感は感じられます。しかし、そこに細かい船の構造の描写や実際の生物の描写などを積み重ねていくことで、途中でシレっと出てくるオリジナル生物に対して違和感なく受け入れられます。僕は海に関しては全くド素人で知識もないので、どこまでが本当なのかよくわかりませんが、作者の知識の深さがよくわかります。しかし作者インタビューで「自分のヨット経験も少し反映されている」って言ってる(公式サイトより)んですけどなにそのリア充感。ヨットとか普通に乗るものなの。僕マブチ水中モーターで走る奴くらいしか触った事ないよ。そういやあの人毎年沖縄とか行ったりしてた。
 そういう生の経験は、やっぱり文章に生きるんでしょうね。

 ずっと読んでいて、僕は何度も泣かされました。リアルに涙がこぼれました。悲しい涙も、嬉しい涙も、寂しい涙も流れました。もちろん気付いてしまった作者のリア充感についてではなく。
 作品全体としてはそんなに悲しい話じゃありません。天真爛漫なアキの性格のおかげで、いつも明るく楽しい雰囲気に満ちています。暖かい太陽の日差しに恵まれた、とても暖かいお話です。
 ただ、だからこそ、緩急のきいた展開でドラマはよりドラマチックに演出されます。まさか最後の溶鉱炉にトランスフォームしてロボットモードになったパラス号が沈みながら親指を立てるシーンが見られるなんて(ありません)。

 読み終わった時の喪失感は相当な物でした。もっと読みたい。もっと彼女らの生活を見ていたい。もっと彼女らの世界を見て回りたい。
 ドラマ的な引きとは違う(もちろんちゃんとありますけど)、「放課後の取り留めもない楽しいおしゃべりの時間が、少しずつ伸びていく机の影の長さと、次第に赤く染まっていく教室の色によって終わりを意識させられていく一抹の寂しさのようなもの」を読んでいくうちに感じて、終わりたくないと思いながら読み進めていきました。終わってしまった後のあとがきの「いつものすたさん具合」に別な意味で安心してしまいましたが、やっぱり寂しいですね。
 とても長く感じる二ヶ月となりそうです。
 (二巻は4月10日発売です!)

  沢山の作品の中から選ばれて大賞を取るって事は、より大多数に認められる、面白いと思ってもらえる作品であると(そういう風に審査員側が判断したと)いう事だと思います。章立てがきれいに成立してて、パート毎に全く色の違うストーリーになっていて、それぞれに緩急が見事に効いていて、クライマックスでも一捻り。エンターテインメント作品として、良い意味で王道を行く構図だったんじゃないでしょうか。設定の個性もありますが、それより総合力が高いという感じ。だからこその大賞。
 そういう意味で、最初に「ミスリードを狙った時間軸いじりをやめた」というのは英断だったと思います。

 もうこれ本当に映画化してくんないかなって。テレビシリーズじゃなくて、この一巻だけできれいにまとめて映画で。CMで「キーちゃんのところで泣きました!」とか映画館のPOPの前で見た人がいう奴作りましょうよ。「パラスアテナ、サイコー!」って。超見たい。
 
 難点という訳ではありませんが、興味を持ってくれた人は、ちょっとだけボートやヨットについての簡単な知識を予備知識として持っておくと、航行の描写がより楽しめるかもしれません。が、まあ知識とかどうでもいいんですよ。この冬真っ盛りの極寒の中で、暖かな海の物語は読んだ人を暖かい気持ちにしてくれるはずです。
 いわゆる世間一般で揶揄されるラノベのテンプレートはひとつも踏襲していない気がするので、あんまりラノベ読まない人にも読んで欲しいなって思います。表紙の絵柄も、あまりラノベっぽくない感じのする、言い方悪いですけどあんまりそっち方面にはキャッチーな絵柄じゃありませんが、読んだ後に改めてイラストを見てもらえれば、この方でなければ、この海の表現の出来る人でなければこの作品の表紙は描けないだろうってわかってもらえると思います。

 まあいいから読もう。
 リアル知り合いには僕が発売日に地元の本屋で一冊ずつ買って回った分を渡しますんでちゃんと読んでね!



    21:02 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

ダンジョン飯


 ダンジョン。
 僕はこの響きが大好きなのです。
 ダンジョンを舞台とした作品も大好きです。
 未だにダンジョンマスターとウルティマアンダーワールドのTowns版を手元に確保してあって、いつかクリアしてやろうと目論んでいますし、ウィザードリィも大好きです。ウルティマアンダーワールドは攻略本も当時の物をとっておいてあります。読み物として面白いんだこれ。
 しかしダンジョンというのは、いったいどれくらいの時間(または期間)潜っているものなのでしょうか。
 日帰り出来るものなのか、それとも数日間じっくり潜っているものなのか。
 日帰りだとしても朝から潜って夕方に戻ってくるような時間なら、途中で空腹に教われるでしょうし、数日間ともなれば用意していくべき食糧の量はかなりのものになるはずです。
 ゲームにしろ漫画などの作品にしろ、そういった部分をリアルに描こうとするとそれだけでかなりの尺や手間を取ってしまうため、よほどの事がなければメインに取り上げる事はない部分ですが、これに真っ向から立ち向かう漫画家が現れました。
 九井諒子先生の「ダンジョン飯」をご紹介。
 九井先生の漫画は、どれも既知への懐疑と未知の余韻のバランスが絶妙で、皆が気になってるけどスルーせざるを得ない部分や、あまり気にしない部分に真っ正面から切り掛かり、見事に解剖していきます。
 今回の漫画も、タイトル通りにダンジョン内での食事を現地調達してみたらどうなるだろう、という内容の作品です。
 モンスターの解釈は作者オリジナルのものもありますが、非常に説得力のある描写と解説で納得させてくれます。「スライムの断面図」を描いた人を私は寡聞にして存じ上げません。

 倒したモンスターの部位を上手に使い、時には罠をも利用し、その場で調理して食します。
 出来た料理の大半が、まあ見事にあんまりうまそうじゃない。
 モンスター料理を好んで食べようとするのが二人いるのですが、彼らは実にマイノリティな存在で、大半の人は食べたがりません。なので、あまりうまそうに見えないのが多分正解。
 それでいて食べてみた時の味の良さに驚く訳ですが。

 モンスターが食える、というのはつまりそのモンスターの生態や構造を知らなければ出来ません。前述した断面図もそうですが、一般的な動物にある程度照らし合わせて似た部分を抽出して、なんとなく分かりやすく……というか、納得しやすいように解説してくれているので、読んでいても何となく「そういう事なら食べられそうだな」って納得してしまいます。この辺のさじ加減が実にうまい。
 以前の作品集でも「お金を食べる人」の話があったりしましたし、納得力においては昨今右に出る人はいないのではないでしょうか。他の作品でも食に関する描写の多い方なので、作者のこだわりが爆発しているのかもしれません。

 食事部分以外でも九井ワールドの面白さは多いです。正直今までの九井ファンタジー漫画の集大成的な、「ファンタジーに無粋なまでにリアリティをぶち込んでいながらフェンタジー風味を打ち消さないバランス」が炸裂しています。今日の文章爆発とか炸裂とかそんな表現ばかりですが。
 一番好きなのはキャラクターの死についての解釈。
 そこら中で死んでます。
 メインのキャラクター達も死亡経験があります。
 しかし、蘇生の魔法がそれなりの手軽さで存在しています。
 特に作中で明確にされていませんが、蘇生の魔法についてはかなりしっかりと九井先生の中で(この世界上での)解釈が出来ているのだと思います。
 そもそも、彼らがダンジョンに潜り、そして食糧の現地調達をしなけらばならない程急ぎで準備不足の状態になっているのは、彼らの仲間がドラゴンに食われてしまった事、その救出のためです。食われた段階で普通は諦めるものですが、消化されきってしまわなければ蘇生は可能だろうと言う彼らの(ともすれば楽観的すぎる)思惑は、蘇生に関するこの世界でのガイドラインがかなり出来ているからなのでしょう。

 ダンジョンのゲームバランスはウィザードリィのそれにかなり近い感じの古臭いものですが、だからこそ「死と常に隣り合わせの状態でありながら彼らが考えるのは今日のご飯(として利用するモンスター)の事」という面白さが生まれるわけです。

 あまりにニッチな内容過ぎて初版部数がやけに少なかったという話で、なかなか手に入らないよ、という人もいるかと思いますが、Kindle版も出てますし、是非一度読んで頂きたい。
 ちなみに過去の記事はこれ
    12:39 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

NHKのコミケ特集に関して思った事


 NHKでコミケの取材が入ってるよ、という話が出たのは昨年の冬コミの時期で、放送時期が決まってからは戦々恐々。一体どんな内容になるのかと思ってその日を待ち続け、いざ当日となったらコロッケ作るの手伝っててすっかり忘れてました。
 たまたまテレビを付けたら放送が始まって十分ほど経過していたので何とかなりましたが。

 とりあえず、とても好意的な内容でしたね。
 あくまで外に向けて作られた番組なので、コミケという特殊な(あえてそう言い切りますが)環境下における独自の文化を、知らない人にわかりやすく表現する事を常に心掛けていたと思います。専門用語が一部変更されていたりするのも、わかっている人の突っ込みよりわからない人の突っ込みの方が問題だからでしょう。前者はただの様式美的コミュニケーションで終わりますが、後者が発生した場合正確な説明が必要になりますからね。

 そして番組のインタビューに真摯に答えて下さった方々は本当に素晴らしい方でした。どの方の言葉も本当にコミケに出ている人達が知らない人に言いたかった言葉だと思います。センセーショナルな部分だけを抜き出し、笑い者にして視聴率を稼ごうと思ったなら、絶対に使われない言葉ばかりです。
 そしてその年齢層も幅広かった。僕が見始めた時は既にプロ作家である畑先生の所からでしたが、そこから五十代の医療関係の方やコスプレイヤーの方、四十代の住職、十代の女子高生同人ゲームクリエイターといった方が出ていらっしゃいました。つまりこれ、若者の文化として扱ってないんですよね。四十年も続くイベントなので、そこに長年参加している人は結構なお年になるはずで。そういう所も把握されているというわけですよね。
 あとは表現についての問題や、税金に関する問題もしっかり考えている事がちゃんと取り上げられていたりしたのも良かったですね。よく勘違いされますが、コミケは無法地帯ではないんですよ。治外法権でもない。あくまでその時の法律に従って運営されてる。そういった、特に親御さんが不安になりそうな部分をちゃんと描く事で知らない人が安心出来るようになっていました。
 特殊、というよりはマイノリティな趣味の集団は、どうしても周りからは意味がわからないので何をやっているのかわからなくて、そしてわからないのって一番怖いんですよね。
 だから本当はもっとオープンにして、怖くないよって言わなきゃいけないんです。そうしないといつまでたっても誤解が消えない。
 でも、テレビという媒体はどうしても視聴率が欲しい媒体なので、一般に知られていない事を「暴く」時はセンセーショナルな絵の方が興味を引きやすいと思ってしまいますし、実際そういう手口多いです。これは「一般人はそうやってマスコミに踊らされて!」っていう事じゃないですよ。オタクでも恣意的な内容やタイトルでまとめブログとか引き寄せられて話題に上げがちですからね。どんな人でも一緒だと思います。人の怒りを買いやすいやり方、思ってもみなかった煽り方をされれば、つい観てしまうものですから。最近ファミコン世代を貶す釣り記事がちょっと話題になりましたし。
 そういう訳で、一番必要だったのは、オタクでない人が、それも沢山の人が気楽に安心して観られる媒体で、コミケという場を誰もが不安にならないような内容で報じる事だったと思います。それが出来たのは結果的にNHKだけだった、という事になりましたね。
 ちなみに過去にあったとされた、「ここに十万人の宮﨑勤がいます」発言は現在では証拠もなくデマだったとされています。この記事が詳しいかと。(面白過ぎてここからリンク先飛んだ人はもうこの後の文章読まなくなりそう。)

 もちろんあの番組中にはエロ関連についてはほとんど語られる事もなく、巨大な人数が動けば当然発生するトラブルに関しても語られませんでした。これらについて物足りない、本当のコミケはこんなもんじゃない!と思った人も多いかと思いますが、実際にはコミケの参加サークルにおける男性向け十八禁同人誌発行サークルの比率ってそんなに高くないですし、それをいうならBL関連も取り上げられてなかったみたいだし。隠したといえば隠したのかもしれませんが、コミケはそれだけじゃないよねって意味では殊更に取り上げるものではないって事でしょう。
 それよりも僕が公正だなって思ったのは、オタクが良く言うオタク賛美部分も割愛していた所です。
 たとえば「オタクは行列にきちんと並ぶよ!割り込みもしないよ!黙って動かず指示に従うよ!」みたいな所とか「オタクはイベント会場を汚さないよ!ゴミはきちんと持ち帰るんだよ!」みたいな部分。僕は個人的にどっちも信じてませんけど、こういう頻繁に語られがちなオタク賛美な事についてあえて取り上げない事で「NHKはオタクの味方だ!完全勝利だ!」みたいな流れにもならなかったのはとても良かったと思います。(開始十分以内にそういった話題が取り上げていたらすみません)

 で、この後ですよね。
 僕のタイムライン上の話ではありますが、「これで興味を持ってニワカがやってくるのが困るよな」と明確に発言したのは一人だけでした。
 一人だけですが、確実にいました。
 発言しなかったにしても、思った人はどれくらいいるでしょう。
 NHKが向こうの扉を開ける手伝いをしてくれました。
 今度はこちらが扉を開ける事を考えなければなりません。
 長年続いて来た特殊な環境で、ルールも多く、特殊なマナーも各ジャンルから集めれば江戸しぐさ並に多いんじゃないでしょうか。発生時期も似たようなもんですね、そういや。
 オタクはマイノリティであるが故にマイノリティである事を尊び、それを維持しようとする人が多いです。これがゆるくなってくると仲間意識や帰属意識が強くなって、所謂ヤンキー化していくような気がするのですが、それはさておき、新たな仲間を作っていかなければ衰退する一方なのですから、発端はどこであっても新参者を歓迎しなければならないでしょう。そうして裾野を広げていく努力をしていって継続させていくことが今ここに参加している人達の指名なのかもしれません。知らない人が入って来て場を荒らすならたしなめましょう。知ってもらいましょう。外部の人であるNHKの人が出来たのだから、どうして内部の人がそれを出来ないと言えましょうか。

 などとどうせ大して読まれる訳でもない記事で好き勝手書いてますが、本当に、コミケットだって盤石な存在じゃないと思うんですよ。ちょっとした事であっという間に崩壊する事は十分考えられるのですよ。

 という訳でNHKのコミケ特集、大変面白かったです。NHKの中の人の一部は、オタクに対してすり寄る、ではなく理解し、分かり合おうとする人がいるという事をこうやって番組を通じて伝えてくれたような気がしました。これ視聴率取れてたらまたMAGネット復活させてくれないもんですかね(台無し)。
 
    12:28 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

サカサマのパテマ感想

 サカサマのパテマの感想を、書いたまま放置してしまっていたのでせっかくなのでアップしときます。大変良い映画だったので、是非色んな人に見て頂きたいので。ソフト化しましたし。

 サカサマのパテマという映画を観てきました。
 ジブリ製じゃないラピュタ的冒険物語という感じ。

 ポスターの絵面が、男の子が女の子にパワーボムっぽい技(もっと似てる技があるそうですが名前忘れました)をかけようとしている図みたいな感じになってますが、あれはそういう物ではなくてあの二人で重力の方向が上下サカサマなのを表しているのです。言われなくてもわかりますね、そんなの。

 最初に少女パテマが地下の狭い世界で生活し、そこから広い世界に出ようとする様が描かれます。外の世界を知ってしまったらしい男(パテマの初恋の人かもしれない)に影響を受けて、何故か手を離すと空に浮かぶ写真を大事にしていました。
 禁忌の場所とされているっぽい深い縦穴をこっそり降りて行くと、その先は写真で見たような世界が広がっていました。

 眼下に。
 彼女からすると、天井に地面があって、足元に空がある状態。

 地面の上の世界は、空が広がっていて、草木が生い茂り、太陽が輝き、どこまでも広がっていますが、ディストピアでした。
 誰もが国の偉い人のために生活し、規則正しい暮らしをして、空を不浄の物として扱っています。
 この世界では、過去に何か大きな事故か何かで重力が反転するという大変な事が起き(映画の冒頭でこれを示唆する映像が出てきます)、今はその災厄を逃れた僅かな人が暮らしている状態だそうです。そしてその時重力が逆さになってしまった人達は、地下にこもって暮らしているのだとか。
 今では「空に行かなかった我々が正しい人で、行った人は悪い人だった」的な教えが一般的となっているようです。なので空を見上げる事も推奨されておらず。皆うつむいて暮らしています。

 そして主人公である少年エイジは、いつも空ばかり見ている、あまり社会に馴染めていない男の子。父親は気球を作って空を飛ぼうとして、その際に事故で亡くなっており、相当な変わり者として扱われ、息子である少年も腫れ物を触るように周りから扱われて、浮いた存在になっています。
 時折立ち入り禁止区域のフェンスのそばまで来てぼーっと空を眺めたりする事が好きで、割とドロップアウト気味な生活を送っていました。もちろんそういう人は「成績」がよろしくなくなるので、あまり良い暮らしは望めそうにありません。良い暮らしというものがあればですが。

 そこに地下から現れたパテマ。しかも地面からフェンスを伝って空に「降りて行く」という姿。
 今まで伝説と思われていた重力逆転の話が、事実だったのではないかという証拠です(実際にはどれくらい昔の話なのかは劇中ではあまり詳しく語られていないので、伝説扱いなのか事実扱いなのかはよくわかりませんでした)。
 彼女と出会い、世界の真実を知ろうとする男の子と、それを阻止しようとする権力者の戦いが始まります。

 ラピュタのようだと最初に書きましたが、色んな所が今風です。女の子の視点から始まる事や、パズーのような血気盛んな男の子ではない事など。
 また、パテマが夢見た外の世界が、実際に行ってみたら案外理想の世界でもないどころかディストピアな辺りは皮肉というか洒落が効いています。

 メインの視点がパテマとエイジで天地がぐるりと逆になるので、そのうちどっちが正しい方向だったのかわからなくなってきそうにもなるし、それをうまく利用した演出上のギミックが沢山出てきます。
 そして途中で攫われたパテマを救いに行く展開から、世界は大きく動き出して、この重力の謎が明かされる事になります。
 明快な冒険活劇とはちょっと違いますが、重力のギミックが全体に渡って活かされて、どこに落としどころを持って行くのか最後までわからない展開が続くため、ずっと飽きずに観ていられます。全体に渡って非常に細かく伏線を散りばめているので、二度観た方がよいかもしれない。
 あまり語るとネタバレしそうになってしまうので内容についてはこの辺にしておきましょう。
 BDも出ましたし、是非観て頂きたい作品です。こういう作品はどんどん応援していきたい。
    12:56 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

アナログゲームの面白さを見事に伝える漫画紹介

 日本ではボードゲームは数十年前に軽くブームになったものの、ブームになってしまったが故にか、今ではほとんどプレイされる事がなくなりました。ボードゲームといえば「すごろくとか人生ゲームとかの子供用パーティゲーム」という認識の人が多いんじゃないでしょうか。
 しかし現在、ドイツを中心に欧米では大人も楽しめる高度なルールのボードゲームの新作が沢山発表され、プレイされ続けています。そして、一部はローカライズされたりして、日本にも入ってきており、プレイ人口はまた増えてきているという事です。僕自身もいくつか購入したり、遊んだりしていることは過去に何度か書いたかと思います。

 そんな中で満を持して登場したのがゲッサンで大人気連載中の「放課後さいころ倶楽部」です。
 女子高生三人組を中心として、様々なボードゲームを遊び、その楽しさを知っていくという作品で、扱うゲームは比較的新しいものがメインとなっています。個人的に大好きな「ハゲタカのえじき」や「カタンの開拓者」、シュタインズゲートの劇中に登場するゲーム「雷ネットアクセスバトラーズ」の元ネタである「ガイスター」なども紹介されています。

 ゲーム漫画というジャンルは、元々はゲームセンターあらしやファミコンロッキーのような、ゲームプレイヤーを主人公として、様々なゲームのプレイ風景を描くものが主流でしたが、次第にゲームキャラクターを主人公として、そのゲームの世界を描く方が主流になっていきました。後者はゲーム世界を深く描くのには向いていますが、様々なゲームを紹介するのには向いていません。この作品は前者に当たり、古い世代の僕はちょっと懐かしさを覚えました。

 この漫画の素敵な所はいくつかありますが、一番は「ゲームを何かのダシにしていない」所。子供向けではない雑誌で「ホビー漫画」を描く場合、そのホビーをやる理由付けが一番大変で、ともすればホビー部分が本来作者の語りたい事の理由付けになるという本末転倒な事になる場合もあります。もちろん、それはそれで「面白い漫画」にはなるんで悪い事ではありませんよ。
 しかしこの漫画は「好きな人(恋愛感情とは別な方)と一緒に遊ぶのって本当に楽しいよね!」という事が主軸になっています。そのために月刊誌で三話もかけて内気な主人公「武笠美姫」と明るい転校生「高屋敷綾」の心を開かせ、怖い(と初見で思わせる)委員長「大野翠」の不審な行動に興味を持たせるという事をやっています。単行本だとテンポが良いのであまり気になりませんが、雑誌で連載を追っている人からしたらなかなかゲームを始めなくてヤキモキさせられたのではないでしょうか。しかしこの三話がある事で、三人のキャラクターが確立し、一緒に遊ぶ理由もプレイスタイルも読者にしっかり印象づけられています。ただのゲーム紹介漫画にはしたくなかったのだと思いますし、その想いは十分に伝わってきます。
 ボードゲームはプレイ人数やプレイスタイルの違い、プレイヤーの趣味によって感じる面白さが全く違うので、登場人物の性格設定がしっかり出来ている事はかなり重要だったりします。実際、彼女らはゲームによって自分に合うもの、楽しいと思う物がバラバラで、前述したように「ただのゲームレビューやチュートリアルにキャラクターを乗せた漫画」ではなくなっています。自分に共感出来るキャラクターが好きなゲームをやってみると、気に入る可能性が高いのではないでしょうか。

 アナログゲームは、そのゲーム毎に最適な人数が変わります。特に多いのが2人用と4人用。ちょうど良い事に主人公は3人。という訳で毎回高確率でゲストキャラが追加されます。翠のゲームショップの店長であったり、クラスメイトの(3人のうち誰かを好きになってたりする)男子であったり、家族であったりと様々。ゲームに精通した人もいれば、彼女らに誘われて初めてプレイする人もいて、面子の固定による停滞も防げています。こういった細かい工夫が凄い。

 ちなみにこの漫画がボードゲームの面白さを紹介するという点において大変優れた作品である事を、とても明確に提示してくれるブログ記事があったのでリンクを貼らせていただきます。正直ここの記事があれば僕の駄文など必要ないくらい素晴らしいのだけど、面白いと思った部分に若干の違いがあったのであえて書かせて頂きました。
 「非電源ゲームでゲームの未来を妄想する」
 【コラム】放課後さいころ倶楽部に見る「ゲームからの逸脱と回帰」
 


 とにかく、アナログゲームにちょっと興味はあるけどどういうものなのかわからないという人でも、すでに様々なゲームを遊んでいる人でもきっと楽しめる作品です。おすすめ。



    12:40 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない劇場版を観てきたのでとりあえず感想。

 劇場版あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない(以下「あの花」)を観てきました。

 ノイタミナで放映していた頃に珍しくブログでも言及しているくらい大好きな作品で(テレビアニメは感想書いてアップする頃には追いかけられない事も多いのであんまり書かないでTwitterで済ませるようになりました)、ずっと楽しみにしていた映画の一つです。
 しかもめんま役の茅野愛衣さんが舞台挨拶にいらっしゃるという事で気合い入れて予約して観てきましたよ。そしたら前から四列目の真ん中辺という凄い席を当ててしまいました。

 茅野さんはとても小さくて可愛くて、素敵な方でした。挨拶の半分を新潟のおいしいものを茅野さんに教える事に費やされてしまいましたが、映画の余韻を茅野さんのお話を聞く事で過ごせるというのは至福の時間でした。全国回るという事で大変だとは思いますが頑張ってください。

 さて映画の話。普通にネタバレしますので未見の方は続きをクリックなさいませんように。間違いなく、テレビ版を最後まで観てから見るべき映画です。劇場版だけだと色んな事がわかりません
    21:58 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top
プロフィール

毒蝮ワン大夫(又はヴァイ)

Author:毒蝮ワン大夫(又はヴァイ)
平和とHORIを愛するナイスガイ。
わりと衝動のままに生きるので日記の方向性が定まらなくて困る。

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