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落語知らなくても十分楽しめるよ


 漫画の魅力の一つに、情報を視覚的にわかりやすく伝える事が出来るというものがあります。文章と絵の組み合わせ、そしてキャラクター同士の会話など、ストーリーの中に組み込まれる事で頭に入りやすくなります。歌にする事で言葉を覚えやすくするのと同じくらい、何かを学ぶ時には有効な手段であるという事は、年号等のはや覚えに歌を使ったり、学習漫画が出版され続けている事からも実証されていると言えるでしょう。

 で、そもそも漫画というのは何かしら読者に新しい情報を与えてくれるものであるので、それが読者の知らないジャンルの事象であれば、それはもうその人にとっては秀逸な学習漫画となりうるわけです。
 ブログで紹介したものではとよ田みのる先生の「FLIP FLAP」がピンボールの奥深い世界を教えてくれたし、河合先生の「とめはねっ!」では書道の世界を教えてくれました。他にもヒカルの碁で囲碁に興味を持った人や、のだめカンタービレでクラシックに興味を持った人もいるでしょう。後者二つは作品を読んでいるだけではあまり詳しくなれないという罠はありますが。

 そうそう、この手の漫画は個人的に大人のホビー漫画と呼称していますが、「読むだけである程度の知識が入ってくる入門書的漫画」と「読むだけでは興味を持てる以上の情報が入りにくい広報誌的漫画」の二種類ありまして、それは蘊蓄を話に組み込むかどうかが一番の違いとなります。そのジャンルの事を描きたい作品と、そのジャンルを背景とした何かを描きたい作品でその違いが出てくると思いますが、どちらが優れているとかそういう話ではないです。

 前置きが長くなってしまったのですが、今回どうしても紹介したかった漫画が「昭和元禄 落語心中」という作品です。タイトルの通り落語を題材にした作品で、上記のような性質を持った漫画です。
 簡単なあらすじとしては、出所したての模範囚である主人公が、刑務所の中で聞いた落語に感動して無理矢理弟子入りをして、落語家を目指していくという話です。舞台設定を昭和にする事で少し懐かしい世界にしてあります。

 まずキャラクターが実に個性的で面白い。多分一番描きたいのは師匠の「枯れた色気」なんじゃないかと思いますが(そこから逆算して設定が出来たんじゃないかと疑ってしまう程に)、主人公「与太郎」もいい味だし、今はもういない師匠のライバルも要所で登場しては存在感の強さを見せつけます。
 様々な人物の想いが交錯する中で一生懸命前向きに生きる与太郎のキャラクターはある種の癒しとも言えます。

 そして、ここで冒頭の「大人のホビー漫画は二つにわけられる」という事を振り返り、この漫画がどちらなのかという事を考えると、「後者に限りなく近い前者」という感じの微妙な位置にあると思います。いわゆる蘊蓄にあたる部分がほとんどないのですが、落語というか落語家の世界を描く作品なので、そうなるとキャラクターの生き様を描く事がそのまま「落語家の世界の蘊蓄」となるわけで、「この作品がどうだ」「こういう演じ方はどうだ」といった直接的な表現はほとんど使われないものの、落語の楽しみ方とか落語家の世界とか、そういう部分が凄く良くわかるようになっています。これは結構凄い事で、何が凄いかというと「世界を説明する蘊蓄部分とストーリーの部分がまったく剥離していない」のです。

いわゆる学習漫画に多いのは、「蘊蓄パートを全部すっ飛ばして読んでも話が繋がる」という構成。話の中で突然蘊蓄コーナーが始まってキャラクター達が話の前後を無視してその蘊蓄を語る事だけに集中するパートが出てくる漫画は、その事を伝えたい!教えたい!という意気込みは伝わるし、知りたい人にはまとまって書かれている分、後で参照しやすかったりして非常に実用的です。ただし興味のない人はまとめて飛ばしてしまえるという逆の意味で実用的なコーナーになってしまいます。
 しかし落語心中は話の中に自然に蘊蓄が組み込まれていく形になっているので、飛ばしても問題ないというページがありません。伝えなければならない情報がそれほど多くないというのもありますけど、自然に頭に入ってくる作りになっているのは凄い構成だと思います。

 このやり方も、やっぱりどっちが優れているという事はないです。ページ数の都合もあるだろうし、その漫画の目的にもよるだろうし。それぞれにわかりやすく伝えるには(その作品では)どのやり方がベストかを考えた結果なのでしょうし。

 まあぐだぐだ書きましたけど、とにかく面白いのですよ、この作品。内容についてはそこら中で書かれているので、あえて他の方向から書いてみました。この漫画がすごいの2位だったそうなので、もはや今更なんですけど、久しぶりに「一巻だけ試しに買ってみたけど読んだその場で続きを買いにいった」くらい面白かったので。
 全力でおすすめします。

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