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ハイスペック・バカ

ちょっと署まで

「この人痴漢です!」
平日の朝。
いつものように混雑した電車の中で、一人の男が痴漢の疑いをかけられた。
被害者の女性は勇気を出して男の手をつかみ、周りの乗客の協力も得て、鉄道員につき出す。
「ちょ、ちょっと待ってください!僕じゃありませんよ!何を証拠に!」
男は突然のことに驚いて持っていたゲーム機を落としそうになりながらも、精一杯抵抗する。このままでは完全に自分が犯人扱いされてしまう。今まで築き上げてきた人生がこの一瞬で全て崩壊してしまいかねない。
「あー、まあちょっとこっちに来てもらえますか?」
あまりやる気のない鉄道警察員が奥へ二人を連れて行く。まあ大体こういう場合男の方が部が悪くなってしまうもので、どちらかというと適当な所で話をつけてやった事にした方が楽だとかそういう方向で説得してしまおうか、などと考えていたのだが、次の男の証言から話の方向はあらぬ方向へ曲がってしまう。
「違いますよ!絶対違います!僕は痴漢なんかしてません!証拠がありますから!!」
証拠がある、と口走った男を警察員と女性が同時に見る。まさかあの混雑の中で触っていない証拠などを出せるはずがない。しかし男は自信たっぷりに言ってのけた。にわかに信じられる話ではない。
「証拠って言っても、やってない事の証明なんてそれこそ悪魔の証明にも等しいじゃないですか」
「ありますよ!これを見てください!」
男は持っていたゲーム機の画面を二人の目の前につき出し、電源を入れた。
「えっ…!?何…っこれ…っ!」
そこにはほとんど地面すれすれから上を向いたアングルで、女性のスカートを映し出していた。もちろんアングルがアングルなので、スカートの中にあるものもしっかり映っていた。そしてスカートの、というよりは女性の尻に伸びた手も映されていた。
「ほら!これが!これが僕の足!そしてこれが彼女のお尻!この角度からこの触っている手がどうやって伸ばせますか!明らかに僕の逆の方向から手が出ているでしょう!大体僕は左手でこのゲーム機を持っていた!しかしこの痴漢の手は左手!明らかに僕が犯人ではない事の証拠でしょう!」
確かに画面に映っているスカートはこの女性のもので、映っているスーツはこの男のもの。その位置からすれば女性を触っている手は逆方向から出ている。そして女性も最初に掴んだ手は右手で、左手はゲーム機か何かを持っていた事は覚えていた。
「確かに…これは触っていない証拠にはなるでしょうが…この写真はどうやって…?」
「これですよ!」
男は自信満々に自分の足下を指さす。そこには男の左足があり、そこには当然男の靴があり、そしてそこには小さな機械がくくりつけられていた。よく見るとその機械の中央には小さな丸いものがついており、おそらくレンズか何かだろうという事はわかった。
「僕の左足のちょっとショットがこの光景をしっかりと映してくれたんです!ほら、僕は触ってなんかいない!間違いないでしょう!」
「そうですね。貴方はほぼ間違いなく触ってなんかいませんね」
「そうでしょう!そらみろ!男が全て女性を触ると思ったら大間違いだぞ!」
最初につき出された時とはうって変わって大きな態度になった男は女性に向かって大いばりで笑い、自分の無実を確信した。これほどまでに晴れやかな笑顔はそうそう見られるものではないだろう。間違いを指摘された女性は、先ほどからうつむいたまま何も喋らなかった。なにがしかのショックを受けていることは間違いない。
ひとしきり男が高笑いをした後に誰も言葉を続けることができず、しばらく沈黙が続いた。完全に空気は最初とは違うものに変化し、勝ち誇った顔の男は警察員と女性を交互に見ては不敵な笑みをこぼしていた。
「じゃあ、とりあえず…」
警察員が沈黙をやぶる。
「はいっ!」
ようやく解放される、そう思った男は1オクターブ高い声で返答した。
しかし警察員から発せられた言葉は男の期待したものとは違っていた。
「盗撮の現行犯で逮捕ということで」
「あ。」




…いや、こういう事件があったもので。ちょっとショットのカメラを長いケーブルで繋いで服の下を通してうまいこと靴に隠したらいけちゃうのかなーとか思って。カメラ持ってないんで直に挿さずにケーブルを経由して動くのかとかは知りませんけどよい子のみんなは真似しないように。万が一実行してもここのブログ読んで思いついたとか喋らないように。あとこんな事書いちゃったんで僕は絶対にちょっとショットが買えなくなりました。買う気もなかったけど。

盗撮も痴漢行為扱いされるみたいです
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わりと衝動のままに生きるので日記の方向性が定まらなくて困る。

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