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ハイスペック・バカ

安彦先生再び

11月3日に安彦先生の原画展および講演会およびサイン会に参加した訳ですが、縁あって11日の講演会にも参加させて頂きました。
今回はJAMの学校説明会の餌として開催されたようで、学校関係者の方が主に仕切っておりました。参加者も学生が多かったようです。

書いて怒られるかどうかわからないですが怒られるまでは掲載しておこうと思います。
今回は前回の反省を生かしてメモを取っていたんですが、メモを取る事で逆に自分の言葉で勝手に翻案されてしまって記憶があいまいになるというデメリットがありました。再現性はやはりあてになりませんのでその辺ご了承ください。

会場に到着し、もともと映画館だったところでの開催で、開始前にガンダムのオープニングを流すとか凝ったことしておりました。意味はわかりませんが。

では今回もたぶん長いんで続き読みたい方のみクリックしていってください。

今回はJAMの講師の方が一緒に登壇して対談というか質問して話を進めていく形式でした。好き勝手にしゃべってもらっていた新津版とはかなり内容が異なり、絵についての話がほとんどになっていてこれはこれで興味深いというかむしろみんなこんな話聞きたかったんじゃないかなーと思いました。


・新潟の印象
 新潟は雪国じゃないことを初めて知ってショックを受けました。(新潟市はほとんど積もりません)
 竜巻の事故のあった佐呂市は私の故郷の隣です。

・原画展の感想
 新津美術館はとても良かったですね。家にあった絵をほとんど持って行かれました(笑)。

・絵を描くきっかけは
 故郷はとても田舎でした。牛の方が多いくらい。あの辺で竜巻が人家に当たるってかなりすごい確率ですよ。
 小三くらいの時にノートに漫画描いたのが初めてだったと思います。ノート、といっても紙がなかったので兄や姉の勉強が終わって余ってるページを使ってました。白い紙があったと思って描いてみたら役所の紙だったりとか(笑)、本当に紙がなかったんですよ。今はきれいな紙がいくらでも使えますが、紙って大事ですよ。
 その後弘前の大学に行ったんですが四年でクビになりまして、上京すれば何か仕事があるだろうと思って(笑)、結局アニメーターになりました。

・アニメーターというものについて
 今日はあえてこういう話をしたいと思いますが、「好き」と「仕事」の間はとても大きいです。逆に不幸になることもあります。
 自分はアニメーターという職業を知らなかったんで、会社に行ってから何をするんですか、と聞いて呆れられたりしました(笑)。見渡すとセルと絵の具があったんで、ああ、色塗る仕事なんですねって言ったら怒られた(笑)。
 知らない事のメリットは、仕事として割り切れることです。
 デメリットは、「好きな人には敵わない」ことです。宮崎(駿)さんとかには絶対敵わないなと思いました。アニメーターやめる理由にも繋がっています。

 プロになるなら、好きでもない事をしなきゃいけません。描きたくもないものを沢山描くことにもなります。それを乗り越えられない人は、プロになるべきじゃありません。

・安彦良和にとってガンダムとは
 仕事の一つでしかありません。
 アニメーターやめて漫画家になってから10年くらい、アニメをまったく見ませんでした。最近は深夜にアニメやるじゃないですか。本当にアニメの事知らなくて深夜になんとなくテレビ付けたらアニメやっててうわーってなったりしました(笑)。

・なぜ嫌いに?
 自分はアニメーターとして負け組だと思っています。あまり好きな言葉ではありませんが、心の傷というか。もう俺の前でガンダムの話をするな!と(笑)。
 当時、アニメはほとんど買い取りで成功報酬とかないんで、当たったとか関係ないんですよ。
 (編注:やめた当時外車買ったけど一番安いグレードのしか買えなくてすねてた、という話を聞いたことがあります)
 あ、今は事情かなり違うみたいですんで安心してください(笑)。

・そんな先生が今ガンダム(ジ・オリジン)を描いていることについて
 サンライズの社長から頼まれたんです。完全にアニメをシャットアウトしていたので、アニメが、ガンダムが自分からそろそろ抜けたかなーという時期でもありました。そろそろ「ガンダムの安彦」というレッテルも消えたかな?と思ったので引き受けました。
 (編注:この後の質疑応答でもう少し詳しく述べておられます)

・漫画家になったことについて
 アニメーターから漫画家になるというのは当時あまり例がありませんでした。
 漫画家になった理由として、漫画家の方が偉かったからです(笑)。
 漫画家は先生と呼ばれるじゃないですか、でもアニメーターは「ちゃん」付けなんですよね。これテレビの業界用語なんですけど、あいつは先生でなんで俺は安ちゃんなんだと(笑)。そんな頃にアニメージュで漫画を描く仕事があって飛びついたんです。
 肩書きは「漫画家」と名乗りたいですね。

・絵を描くということは
 描いている間は浮世を忘れるというか(笑)。ヒーロー描く時はヒーローに、ヒロインを描く時はヒロインになれるじゃないですか。
 まあ浸りすぎると現実に帰ってこられなくなりますんで、プロとしては一歩引く事も大事ですね。

・JAM生徒へのアドバイス
 世の中アニメが浸透して、なんか浸透しすぎて世の中がヨイショし始めたじゃないですか。政治家とかが「日本の誇る文化」とか言い出して。
 昔は漫画描くと怒られたものですが、今は違って怒られない。理解がありますよね。大学で講師をしていますが、入るときに親に怒られた人いるかって聞いてみたら一人もいませんでした。
 私はそれが気分が悪いです。なんか心配になってしまう。

 元々はアニメや漫画はサブカルチャーでした。サブカルチャーであることが描く側のエネルギーの元でした。「恥ずかしながら」という気持ち。
 今はむしろ周りが応援してくれちゃうんで、野太い根性が薄れてしまうんじゃないか?と。

 好きなモノをやっていても怒られないために、本当にそれだけに浸ってしまう事に恐怖を感じます。田畑も連作を続けると土地がやせてしまいます。栄養が奪われてしまいます。
 何か…たとえば高橋留美子さんが好きだとして、ずっと高橋留美子さんの作品を見続けて、真似だけし続けても、結局オリジナルを超えることは出来ません。とにかく他の栄養を吸収して欲しいです。
 私が大学で講師を引き受けることのきっかけは、何か違う栄養を与える手助けになれないかなと思った、というのもあります。

=ここで一部終了。質疑応答に入りました。

Q1:ジ・オリジンを作る上での信念は何かありますか

A1:ガンダムが放映されてから時間が過ぎて、今はいろんなガンダムがあります。しかし自分の中ではガンダムというのはいわゆるファーストだけです。なんというか、もはやそんな時代かと。
 ファーストガンダムとはこういうものだ、というものを若い(当時を知らない)人に向けて作っています。当時やりたかったことをそのまま描いています。
 サンライズの社長から頼まれた時、どうも社長は漫画化して外国で売ろうというもくろみもあったようで(笑)。アニメだと30分が50話近くもあって「見れ」といっても難しいですが、漫画ならすぐに見られるし。私はそういう部分はどうでもよかったですが。
 冨野監督にも聞いたら「僕も読みたいからやれば」と言われまして、もし許可が下りなかったらやるつもりはなかったんですが許可もらってしまったのでこうして描いています。

 とにかく当時の当事者として、ガンダムはこうだ、というカタチを見せたいです。

=時間が尽きて一問で終了しちゃいました。
この後花束を贈呈して終了しました。


安彦先生も絵の「コピーの劣化」を憂いていましたね。
言いたいことはわかるんですけど言葉が足りてなかったかなーと思います。
習作は模写から入るのはもう大昔からそうだったと思うんですよ。実際みんなやってると思うし、安彦先生自身もやってたと思います。たぶん最近の雑誌の絵とかを見て、その模写で終わってる人が多いなあって事を思ってるんじゃないかなとは思うんですが、模写から始める事そのものを否定するような事を言ってしまうのはちょっと問題かなと。
本来は好きな絵があって、まねをしてみて描き方を学んで、そこからデッサンなり技法なりを学んで自分の絵を作っていくという段階があると思うので。最近はまねをしてまねをして本気で同じ絵になっちゃう人とかいますが。売れ筋の絵を同じように描いたりな。
安彦先生の世代の人とかは、普通に模写してから自分の絵を作り上げて行けた人がほとんどで、当たり前のように個性的な絵柄が生まれていったから今の絵を見て「なんで自分の絵にならないんだろう?」というのが理解出来ないんかなと。オリジナルは超えられませんよという言葉からすると。

私もうまく言葉に出来ませんが、というか新しい雑誌ぱらぱらめくって絵の区別がつかなかったりする方ですが、どうせコピーの劣化を警鐘するなら「最初は真似から入るのは良いが、プロを目指すならそれを超えて自分の絵を作っていくことも大事でしょう。それには好きな作家の模写からデッサンや技法を学んで自分の絵を確立させていくのが良いのではないでしょうか」とかそういう感じでまとめてみてはいかがでしょう。

どうもこの辺の話題を持ち出す人は「模写駄目、絶対」という論調に聞こえてしまう人が多いですね。そういうつもりはないと思いますけど。
某漫画技術誌で昔「デッサンちゃんと学べ、模写ばっかしてんな」と書いた人がいて、読者から「デッサンしっかりしたらみんな同じような絵になっちゃいませんか」とか言われたそうで。これはこれで苦笑するしかないんですが。デッサンの確立と個性の確立は両立するんだけども。

この辺の話はたぶんいい着陸点が見つからないと思うんで、結論はうまく出ませんが、まあ私はそこが気になりましたよと。
人こないからコメント欄が荒れたりする事を心配する必要がないのが救いです。


終わってから喫茶店で延々とガンダム話をし続けたりして帰りました。
前回とはまったく違う内容で非常に面白かったです。
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