ハイスペック・バカ

ひとつ海のパラスアテナ2巻感想(ネタバレ有り)

 われはうみのこ。これ以上歌うと金銭が発生しそうなので以下略。

 相変わらず地元の海開きはまだ遠いし、開いた所で行くかどうかわかんないですが(今住んでる所は車で10分も走れば海に着きますが)、それはそれとして我々は海の広さと美しさと怖さを一冊の本で知る事が出来ます。
 ひとつ海のパラスアテナ、2巻が4月10日に発売されました。
 1巻が出て2ヶ月という短さでの発売です。1巻が出てから電撃文庫マガジンでの短編、店舗特典での掌編が二つ、ニコニコでの短編連載が一つとなった上でこれですから、ここまでどれほどの速度で執筆していたか想像を絶するものがあります。

 色々と考えて、何度も書いてみて、どうしても書けなかったので、今回は読んでいない人向けのネタバレ配慮の感想文は書くのをやめました。
 1巻を読んでいない人には、過去の感想文を読んで下さい。
 1巻を読んだ上で2巻を買おうか迷ってここに来た人は、いいから本屋に行け。

 という訳でネタバレアリの感想文が以下続きます。

 なんでネタバレ配慮の感想文が書けなかったかというと、まず作品の魅力である海の事は、今回もそれほど大きく変わらないのです。特に前回の感想文はストーリーに沿う形にはしていないので、氏の文章の素晴らしさをそのまま感想にしている感じになっています。なので書こうとすると大体同じになっちゃうのね。
 そして、僕は、僕が思っていた以上にタカの事が好き過ぎました。
 タカが好きです。
 彼女の一途な所が好きです。
 彼女の目的の為なら手段を選ばない真っすぐさが好きです。
 彼女の愛を隠さない所が好きです。
 彼女の欲望を隠さない所が好きです(カニ)。

 残念ながら、2巻のネタバレ配慮感想文ではタカの事が書けません。なぜならタカに再会出来るのかどうかは2巻の話の中でもかなりウェイトの重い部分だからです。彼女とどうやって再会したか、そうしてどうなったか、彼女がアキに対してどんな態度で、どんな風に再会を祝ったか。それらはとても重要で、読者がとても関心のある所です。読者がっつうか僕が。
 これを避けて書こうとする事を僕の中のゴーストがどうしても許してくれないらしく、何度書いてもうまくいかず、指が動かず、しょうがないのでユニコーンガンダムをヤスリがけしてたりしました。
 という訳で諦めたのです。
 諦めてさっきのタカの事書いたら2分くらいでサラサラ書けました。愛って凄い。愛はこの作品のテーマでもあります。勝手に思ってるだけですが。つまり愛なのです。もう支離滅裂です。

 タカの事はとりあえずまた後で書くとして、2巻の話をしましょう。

 今回、凄いなって思ったのは序盤の百合サバイバー部分です。一巻が出た後の感想で多かったのは、百合部分とサバイバル部分に対する賞賛でした。凄惨なサバイバル描写も、その後に訪れる百合ワールドも、どちらも素敵でした。
 そして今回はサバイバル部分がアキ一人ではなくオルカとの二人サバイバル。二人になると、出来る事が増えるかわりに出来ない事も生まれます。今回のようにモリというちょっとだけ広い場所ともなると、相手が視界に入らない場所に移動してしまう事もあるため、心配事も生まれます。それらを見事に描き、新キャラの魅力も一気に引出してしまうと同時にアキが誰と居ても受けになるという事を決定付けてしまうという所もポイント高いですよね。受けキャラの神髄を見た気がします。

 今回はちょっとしたトカイに出る事で、アキの田舎者っぷりを表現しつつ、オルカの強みがわかりやすくなっていました。タカとはまたちょっと違う処世術。三人とも他人との関わり方が全く違っているんですよね。その辺の対比も面白いです。アキの世間知らずっぷりは本気で不安になるレベルだし。野生児だなあ。

 この作品で地味に凄いなと思うのは、アフターの世界の人は、アフターの世界の常識を守ってるんですよね。当たり前だろって思うかもしれないけど、これは案外難しいと思います。違う世界の、違う常識を持った社会を描く時に、現代社会と同じような考えを持った人ばかりだと、ビジュアル以外に異世界にいる感覚が薄れます。逆にビジュアルに大きな差がなくても、現代社会と価値観の全く違う世界を描き、人物が我々とは異質な考えを持っている事がわかると、その作品は強烈な異世界感を与えてくれます。
 アフターの世界は我々の世界と地続きな感じのする世界ですが(地面ありませんけど)、それでも海に囲まれた世界というのは我々とは結構違う部分が多いと思います。細かい指摘はしませんが、アキが当然のように振る舞う行動や、周りの人が何となく喋ってる事に、現代社会ではちょっとないような事がさらりと混じってます。それほど強調するわけじゃないので、本当にさらりと、ごく自然に描かれていて、そこが凄いなって。異世界を描く上で違和感を与えないように、読む時に何かひっかかるような部分を作らないように、とても丁寧に積み重ねられていると思います。読みやすさと、入り込みやすさが両立しています。

 海賊の存在感も増しましたね。前作ではストーリー上の障害というイメージのあった海賊ですが、今回は世界観に深く食い込んだものである事、アフターの世界に欠かせない存在である事が提示されました。トカイの描写と共に、世界観を大きく広げてくれたように思います。僕だけかもしれませんが1巻の時に比べて幾分生きやすい世界になった気がします。相変わらず僕が行っても一年生き延びられる気がしませんが。

 飛行機や、オーパーツの存在も面白いですね。カンパンの事も考えると、案外遠い未来ってわけでもないんじゃないのって気がしてきます。ガソリンがどれくらい保存出来るものなのかはわかりませんが。もしかしたら、海に覆われてしまった理由が、いつか語られるのかもしれません。オルカの存在がそれに関わる何かのようにも思えますし。

 タカが飛行機でやってくる所とか、もう凄過ぎますよね。ここから僕は文章を読み取る努力を放棄してタカへの愛を語るだけにしますが、あの世界で飛行機に乗ってやってくるという事の凄さは、我々の世界で飛行機に乗って来るのとはちょっと訳が違います。その決意、努力、散財、どれをとっても極上の愛です。どれほどアキを愛してるのか、もう計り知れませんよ。ノートリアスモンスター級ですよ。そこまで築き上げてきたオルカとアキとの親密度に比べたら、それはもうヤムチャとベジータの戦闘力の差くらいありそうですよ。それでいて「アキは王子様だから」というあの台詞。さらりと言ってますけど、これほど的確に自分とアキとの関係性を一言でまとめた台詞はありませんよね。お互いの境遇や能力の違いと、出会いと、育まれた絆をたった一言で表しました。タカが来てからのアキの能力ブーストっぷりもわかりやすい。
 多分、まだアキの方が理想の自分になれていないと思いますが(なれたら作品終わっちゃうかもしれないけど)、とりあえず三巻開始時は二人が一緒にいられるようでなによりです。また別れが来ないとも言いきれないんですけど。

 最後に、あの物凄い引き。よくもまあ、ここまで沢山海での絶望感を引出してきますよね。序盤に伏線が張ってあったとはいえ、ラストであんな大規模な災害になるとは。さすが一巻で表紙キャラの2/3を失わせた作品です。侮ってました。

 という訳でネタバレ有り感想でした。ネタバレ気にせず書き始めたらあっさり書けました。ちょっと時間かかっちゃったんで「あれ、2巻は気に入らなかったの?」みたいに思った人がもしいたら申し訳ないんですが、全然そんな事ありませんのよ。むしろどうやって面白さをネタバレさせずに一巻も読んでいない人に向けて書いたものかわからなかったんですのよ。よく考えたらあんまり意味がないなって気付いたんでやめたんですけど。
 以後の巻も(新シリーズとかでない限り)この調子で書いていこうと思います。これなら毎回行ける。もっと早くいける。
 続きが楽しみだよ!
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