ハイスペック・バカ

ひとつ海のパラスアテナ、ネタバレ感想

 ひとつ海のパラスアテナ、ネタバレ感想文です。思い付いた事を適当に書き散らしていきます。
 読んだ人以外は読まないようにしてください。読んでいない人にはわからないと思いますし。
 という訳で畳んでおきます。
 アキは良い子ですね。天真爛漫で、天然で。でもアホの子じゃないんですよね。メッセンジャーとして必要なスキルや知識はちゃんと持ってる。その知識がメッセンジャー用以外には汎用性がなさすぎるだけで。
 自分の身体能力をかなり正確に把握しているように思います。いざという時に自分に出来る事の限界をわかった上で行動しているので、本人にしてみたら無茶はしてないんだと思います。

 タカは素敵な子です。優しくて、寂しがりで、思ったことははっきりと言うので二人になるとツッコミ役っぽくなってしまうのは仕方がない所でしょう。世渡り上手で知識も豊富で、それでいてアフターに生きるための技術は足りないというバランス。アキに比べたら大人だけど、時折見せる子供らしい部分がとてもかわいらしいです。
 実の兄弟(姉妹)じゃなくても、子供は年齢差をつけて二人配置すると自動的に年上の方がお兄さん(お姉さん)になるんですよね。年上の方が一人っ子だったとしても。そしてたとえ五歳やそこらでもちゃんとお兄さん(お姉さん)になります。アキはちょうどそんな感じの立ち位置になっちゃっただけなんじゃないかなー。

 この二人の(力)関係は、どことなくすたさんとジョウガサキさんの(力)関係みたいだなーと思ったりもします。いや、あくまで日記から読み取れるキャラクターで言ってるだけですよ。特にジョウガサキさんとは面識ほぼありませんし。

 タカとアキがお互いに自分たちが相手と一緒にいていいのかって悩むシーンが凄く身につまされます。一番共感した場所がここ。特にタカの方。
 自分がそこにいていいのか。それに相応しい、相手に釣り合うだけの力を持っているのか。アフターの世界は能力の劣る人間は長生き出来ないシビアな世界だと思うので、特にそれぞれの能力について悩んでしまうのは仕方がないと思います。
 僕の周りも凄い人ばっかりで、どうにかして追いつきたいものですが、こっちが三歩進む時間に周りは四十歩くらい進んでる感じがします。
 もちろん彼らの四十歩は鼻歌まじりという訳じゃなくていつでも全力の四十歩で、むしろ僕の方が三歩進むまでに適当な理由と言い訳を積み重ねて進まないようにしているだけです。出来ない理由がポンポン出てくるようになったら大人だなと思いますが、もちろんそれは聖剣伝説3で言うところの闇のクラスチェンジです。嘘と言い訳で塗固めた人生送ってますんで、相当闇に包まれています。
 「お前が自慢する、お前の周りの凄い人たちが、お前の事を自慢する事はないよな」
 そういう感覚。
 感覚というか、ただの事実ですね。
 アキもタカも、相手のことが本当に好きで、大切だからこそ、幸せになって欲しくて、そして自分がそのための力になれるかという自信がないんですよね。君と生きる事は僕の幸せだけど、僕と生きる事は君の幸せなのか?という疑問。この辺、お互いに相手をどう思ってるかを確認しあわない所が、実はあんまり女の子っぽくないなって思ったりはしますが、それは僕が「女同士の友情は、友情の確認から始まる」と勝手に思っているからですが。だからこれは友情じゃなくてきっと愛情なのでしょう。エロースでなくアガペー。
 最後のタカの決断は凄く寂しいけど、いつかまた再会出来る時には最高のパートナーとなっている事でしょう。その日が作中で来るのかどうかが気になります(再会をシリーズとしてのラストエピソードに持ってくるのか、それとも会ったり別れたりを繰り返す感じになるのか。後者だと面白そうだなー)。少なくとも二巻の予告ページでは違う女の子と二人でピンチに陥ってるみたいですが。このままイースみたいになってしまうのかしら。それはそれで。
 今気付いたけど、この流れ(タカの決断と別れとやがて来る再会)を作るには、アキが男の子だと色々よろしくないんですね。露骨にラブ話に展開してバディになりにくい気がする。ここまで(端から見れば)ラブラブした二人でも、女の子同士ということで友情の範疇をギリギリ超えないで済んでいるし。

 そういやこの作品、別れのシーンも多いですよね。キーちゃん、パラス号、親、タカ。全てがかけがえのないもので、別れの時は物凄く寂しい気分になります。もうね、「えっそれと別れちゃうんだ!」って驚いてばかり。まさか表紙に描かれた三人のキャラのうち(パラス号も立派なキャラだよね)二人が途中退場するとか思わないでしょ。これ本当に凄いと思います。
 だからといってこの作品が「人間は所詮独りだ」みたいな事を言いたいのでは決してなくて、むしろ逆が言いたいがための別れになっている気がします。どれもその後の発展には必要な事なんですよね。
 ただ、この世界は、そういってもあまり慈悲はなくて。死ぬ時は死ぬし別れる時は別れる。ハイクを読め。カイシャクしてやる(この作品にはニンジャスレイヤーさんはいません)。そういった緊張感が全編を通して貫かれていたから、最後の連れ去られたタカの安否についても、その後のアキの怪我についてもギリギリまで心配でした。まさか表紙に出ているキャラが三人ともいなくなるとかそんなクトゥルフ神話作品もびっくりな展開が発生したらどうしようという意味でも心配してしまいました。

 別れと言えば僕はキーちゃんの死ぬ所は本当に泣いてしまいました。他でも泣きましたがまずここでやられました。今思い出しただけで涙が出そうになります。泣いちゃうのは死ぬ所でも、アキが叫ぶところでもなくて、アキがキーちゃんに刃を突き立ててその命を啜る所。壮絶過ぎます。キーちゃんの命を貰い受けて、それで行き伸びる事を決心するあのシーンは、この作品の、この世界における生命というものの扱いについて端的に表現された所だと思います。屈指の名シーンです。タカに言わせれば「あんたが殺して食べちゃった」シーンでしかないのですが、この「他の人は案外あっさりと言っちゃう」のも、逆の意味でこの世界での扱いを表現しているのかもしれませんね。
 実は僕は、一方通行な、コミュニケーションが取れているのか微妙に疑わしい感じのキャラがツボらしいのです。わかりにくいですけど、例えばバイファムの練習艦ジェイナスのコンピュータ、ボギーとか、ICOのヨルダとか。偶然言葉が通じたような気がする所があるんだけど、実際には多分そんな事はない。でもお互いに大事に思ってるんじゃないかな?という微妙な関係性が凄く好きです。コミュ障の戯れ言かもしれませんけどね。
 というわけでキーちゃんは凄くツボでした。序盤で死んじゃったのは悲しいですが、彼はずっとアキと共にあり、そしてまだアキのそばにいます。キーちゃんがいなくなっても大丈夫な時、アキはようやく大人になれるのかなと思います。実は一巻でそういう決別があるのかなーと思ったらそうでもなかった。というか一巻でやったら確実に蛇足感出ますね……。

 この作品は生命の重さと軽さを実に見事に表現していますが、命を受け継ぐという事もずっと表現しています。これは前回のエントリにも書きましたけど。
 そこから行くと、この作品の終わりは、やっぱりアキが子を産む所になるんじゃないかなって勝手に妄想してます。ラノベでそれやっちゃうと色んな意味で炎上案件ですんで難しいとは思いますが。ただ、ひとつの区切りをつけるとしたら、両親との再会よりはそこかなって。子供が生まれる事が旅の終わりにはならないのは、アキの両親見てればわかりますが、ベタなエンディングじゃないかなと。俺たちの戦いはこれからだ!的な感じありますが。
 アキの旅はまだまだこれから始まった所です。出来るだけ長く見守っていきたいですね。あの世界は、実際に住むと相当大変だと思いますが、行ってみたいなって思うくらいに魅力的です。


 で、ここからは今までの文章を全て台無しにする内容に移ります。
 この作品、大変エロいですね。
 もちろん直接的な性的描写は(ドリル氏のめくれあがったスカートの下とか、そういう奴はともかく)ほぼないし、ラッキースケベ的なものもないです。絵的にはえっちな部分はいくつかあったかと思いますが、明るい描写でそんなにエロく感じる事はなかったです。あくまで個人的には、ですが。
 かわりにエロくなりそうなシチュエーションとか、薄い本が出そうなシチュエーションとか、なんだか妄想がフルバーストしそうな描写多くないですか。僕だけですか。直接女子同士のスキンシップよりもフッターの設定とか任意同行していったあとのタカとか色々とそっちの方に無闇にエロスを感じるようになった辺りは多分この本の想定顧客層から外れてるんだろうなあって今思いました。若い子はスコールで体を洗うシーンとかに欲情して「これが本当の浴場シーン、なんちて!」とか言うんでしょうか。言わないね。言うのはオヤジだね。こういう事書くのを我慢出来なくなってきた辺りが年を取ったなって事なんでしょう。

 あと疑問点がちょっとだけ。
 アキが一巻で航海した範囲がどれくらいなんだろうなっていうのがちょっとだけ気になります。帆船の一日の航行距離がわかんないので、あの海賊の島を中心にどれくらいの距離があるんだろうかと。別にわからなくても全然いいんですけど。
 海の深さはどれくらいなのかなというのもちょっとだけ気になりました。そんなもん地域によるでしょうけど。いや、なんかね、今後ビル礁が我々が見覚えのある建物だとかそんな小ネタが出たら面白いなーって。サルベージの事考えると、いくらなんでも数百メートルって事はないだろうから、東京みたいな都市群は結構なビル礁の塊になってて相当なトカイなのではなかろうかと。
 しかしこの辺がわかってしまう事で急に現在の世界と地続きになっちゃう事で興ざめしちゃう人もいるかもしれないねえ。難しいな。
 
 とりあえずそんな所で今回の駄文は終わりにしましょうかね。まだ一回しか読んでませんので、また読みたいと思います。ラノベ繰り返して読みたいと思うとか初めてじゃないかしら。読み返したらまた色々発見があったりして語りたくなるかもしれませんが、その時は何か書くかもしれないし、二巻の感想にからめるかもしれません。

 という訳でこの二つのエントリーをもって鳩見すた先生へのファンレターと代えさせて頂きます。物理メールがあった方がよいって話になりそうならこの二つ書いて送る事にします。あった方が良いよね。特に女性から。頼んだぞ。

 ホント二巻が楽しみです。
    10:23 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top
Comment







(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
Trackback
http://vile.blog31.fc2.com/tb.php/1106-3247e1b8
プロフィール

毒蝮ワン大夫(又はヴァイ)

Author:毒蝮ワン大夫(又はヴァイ)
平和とHORIを愛するナイスガイ。
わりと衝動のままに生きるので日記の方向性が定まらなくて困る。

最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
月別アーカイブ(タブ)
最近のトラックバック
FC2カウンター
ブログ内検索
リンク
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文: