ハイスペック・バカ

NHKのコミケ特集に関して思った事


 NHKでコミケの取材が入ってるよ、という話が出たのは昨年の冬コミの時期で、放送時期が決まってからは戦々恐々。一体どんな内容になるのかと思ってその日を待ち続け、いざ当日となったらコロッケ作るの手伝っててすっかり忘れてました。
 たまたまテレビを付けたら放送が始まって十分ほど経過していたので何とかなりましたが。

 とりあえず、とても好意的な内容でしたね。
 あくまで外に向けて作られた番組なので、コミケという特殊な(あえてそう言い切りますが)環境下における独自の文化を、知らない人にわかりやすく表現する事を常に心掛けていたと思います。専門用語が一部変更されていたりするのも、わかっている人の突っ込みよりわからない人の突っ込みの方が問題だからでしょう。前者はただの様式美的コミュニケーションで終わりますが、後者が発生した場合正確な説明が必要になりますからね。

 そして番組のインタビューに真摯に答えて下さった方々は本当に素晴らしい方でした。どの方の言葉も本当にコミケに出ている人達が知らない人に言いたかった言葉だと思います。センセーショナルな部分だけを抜き出し、笑い者にして視聴率を稼ごうと思ったなら、絶対に使われない言葉ばかりです。
 そしてその年齢層も幅広かった。僕が見始めた時は既にプロ作家である畑先生の所からでしたが、そこから五十代の医療関係の方やコスプレイヤーの方、四十代の住職、十代の女子高生同人ゲームクリエイターといった方が出ていらっしゃいました。つまりこれ、若者の文化として扱ってないんですよね。四十年も続くイベントなので、そこに長年参加している人は結構なお年になるはずで。そういう所も把握されているというわけですよね。
 あとは表現についての問題や、税金に関する問題もしっかり考えている事がちゃんと取り上げられていたりしたのも良かったですね。よく勘違いされますが、コミケは無法地帯ではないんですよ。治外法権でもない。あくまでその時の法律に従って運営されてる。そういった、特に親御さんが不安になりそうな部分をちゃんと描く事で知らない人が安心出来るようになっていました。
 特殊、というよりはマイノリティな趣味の集団は、どうしても周りからは意味がわからないので何をやっているのかわからなくて、そしてわからないのって一番怖いんですよね。
 だから本当はもっとオープンにして、怖くないよって言わなきゃいけないんです。そうしないといつまでたっても誤解が消えない。
 でも、テレビという媒体はどうしても視聴率が欲しい媒体なので、一般に知られていない事を「暴く」時はセンセーショナルな絵の方が興味を引きやすいと思ってしまいますし、実際そういう手口多いです。これは「一般人はそうやってマスコミに踊らされて!」っていう事じゃないですよ。オタクでも恣意的な内容やタイトルでまとめブログとか引き寄せられて話題に上げがちですからね。どんな人でも一緒だと思います。人の怒りを買いやすいやり方、思ってもみなかった煽り方をされれば、つい観てしまうものですから。最近ファミコン世代を貶す釣り記事がちょっと話題になりましたし。
 そういう訳で、一番必要だったのは、オタクでない人が、それも沢山の人が気楽に安心して観られる媒体で、コミケという場を誰もが不安にならないような内容で報じる事だったと思います。それが出来たのは結果的にNHKだけだった、という事になりましたね。
 ちなみに過去にあったとされた、「ここに十万人の宮﨑勤がいます」発言は現在では証拠もなくデマだったとされています。この記事が詳しいかと。(面白過ぎてここからリンク先飛んだ人はもうこの後の文章読まなくなりそう。)

 もちろんあの番組中にはエロ関連についてはほとんど語られる事もなく、巨大な人数が動けば当然発生するトラブルに関しても語られませんでした。これらについて物足りない、本当のコミケはこんなもんじゃない!と思った人も多いかと思いますが、実際にはコミケの参加サークルにおける男性向け十八禁同人誌発行サークルの比率ってそんなに高くないですし、それをいうならBL関連も取り上げられてなかったみたいだし。隠したといえば隠したのかもしれませんが、コミケはそれだけじゃないよねって意味では殊更に取り上げるものではないって事でしょう。
 それよりも僕が公正だなって思ったのは、オタクが良く言うオタク賛美部分も割愛していた所です。
 たとえば「オタクは行列にきちんと並ぶよ!割り込みもしないよ!黙って動かず指示に従うよ!」みたいな所とか「オタクはイベント会場を汚さないよ!ゴミはきちんと持ち帰るんだよ!」みたいな部分。僕は個人的にどっちも信じてませんけど、こういう頻繁に語られがちなオタク賛美な事についてあえて取り上げない事で「NHKはオタクの味方だ!完全勝利だ!」みたいな流れにもならなかったのはとても良かったと思います。(開始十分以内にそういった話題が取り上げていたらすみません)

 で、この後ですよね。
 僕のタイムライン上の話ではありますが、「これで興味を持ってニワカがやってくるのが困るよな」と明確に発言したのは一人だけでした。
 一人だけですが、確実にいました。
 発言しなかったにしても、思った人はどれくらいいるでしょう。
 NHKが向こうの扉を開ける手伝いをしてくれました。
 今度はこちらが扉を開ける事を考えなければなりません。
 長年続いて来た特殊な環境で、ルールも多く、特殊なマナーも各ジャンルから集めれば江戸しぐさ並に多いんじゃないでしょうか。発生時期も似たようなもんですね、そういや。
 オタクはマイノリティであるが故にマイノリティである事を尊び、それを維持しようとする人が多いです。これがゆるくなってくると仲間意識や帰属意識が強くなって、所謂ヤンキー化していくような気がするのですが、それはさておき、新たな仲間を作っていかなければ衰退する一方なのですから、発端はどこであっても新参者を歓迎しなければならないでしょう。そうして裾野を広げていく努力をしていって継続させていくことが今ここに参加している人達の指名なのかもしれません。知らない人が入って来て場を荒らすならたしなめましょう。知ってもらいましょう。外部の人であるNHKの人が出来たのだから、どうして内部の人がそれを出来ないと言えましょうか。

 などとどうせ大して読まれる訳でもない記事で好き勝手書いてますが、本当に、コミケットだって盤石な存在じゃないと思うんですよ。ちょっとした事であっという間に崩壊する事は十分考えられるのですよ。

 という訳でNHKのコミケ特集、大変面白かったです。NHKの中の人の一部は、オタクに対してすり寄る、ではなく理解し、分かり合おうとする人がいるという事をこうやって番組を通じて伝えてくれたような気がしました。これ視聴率取れてたらまたMAGネット復活させてくれないもんですかね(台無し)。
 
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