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ハイスペック・バカ

小咄・タイムマシーン

再録小咄その2。冒頭のやり取りだけちょっと追記してあります。

○「よう、どうしたんだよ急に呼び出して。」
●「ああ、あの、あのな!あの、あの!」
○「落ち着けよ。ほらお茶買ってきてやったから」
●「あああ、あり、あり、……んはあ……落ち着いた」
○「あとで150円払えよ。……で、どうかしたのか?」
●「ああ!そう!そうなんだよ!あのさ!あのさ!俺、ついにやったんだよ!」
○「…強盗?」
●「やってねえよ!…ついに出来たんだよ!」
○「子ども?」
●「独身だっつの!」
○「ひと夏の思い出?」
●「もう秋だよ!」
○「じゃあ何なんだよ?」
●「ふっふっふ。俺が作り上げたのは…タイムマシーンでーす!」
○「あ、そ。じゃあね。」
●「帰るなよー!ここからが本番だろぁ!?も普通タイムマシーン出来たとか言われたら『マジで?!』とかそういう反応じゃねえのか。なあオイ。」
○「いや、別に。信じてないし。」
●「信じろよ!本当に出来たんだっつうの!タイムマシーン!タァイムマスィーン!」
○「リアルに発音しなくていいから。」
●「航時機。」
○「和訳しなくていいから。」
●「信じろよー頼むからぁー。」
○「借りた金返すのが惜しくなってそういうキャラを演じ始めたとかそういう。」
●「そんな訳ねえだろ!ちゃんと返すよ…。ほら、五千円!」
○「マジで?!」
●「そこで驚くなよなーもう。まあ、とにかくさ、タイムマシーンが出来たのですヨ!」
○「ふーん」
●「なんでそっちは冷静なんだよ!もう本当なんだって!信じろよ!」
○「それ、ちゃんと使えるの?」
●「ああ、まあな。まだ試してないけど。」
○「出来てねえじゃん!」
●「出来たんだって!理論上は出来たんだってば!いや、ほら、こういう実験の時って誰か証人が必要じゃん?」
○「ああ、失敗して帰らなくなった時のためにな。あの人は立派な最期を遂げました…。」
●「殺すなよ!違うよ成功した時に喜びを分かち合う人だろ!その時の出来事を手記にして出版して印税が。」
○「ああ暴露本?」
●「暴露じゃねえよ!成功までの軌跡を書くんだよ!」
○「いいよ、面倒臭いから。…で、これから、それ、使う訳?」
●「そうだよ。」
○「今ならまだ間に合うぜ?」
●「何が?」
○「今ならまだ嘘でしたって言っても俺怒らないから。」
●「嘘じゃねえっつうの!マジで!リアルに!完成!」
○「ん、じゃあ、いいよ。とにかく、使ってみろよ。」
●「オッケー!行ってくる!…スイッチ、オン!ウィーンバチバチバチ、ブシュー。ただいま!」
○「早いなオイ!」
●「ま、タイムマシーンだからな。こう、時間の流れがあるだろ、で、俺だけ、その流れからタイムマシーンでヒョッと抜けた訳だ。あくまで俺はこの時間の流れにいる人間だから、帰りはその抜けた所に戻らなきゃいけない訳。」
○「へえー。上手いね。こじつけるの。」
●「違う本当に行って来たんだよ!」
○「じゃあ、どこ行って来たんだよ。」
●「おお、ちゃんと行ってきたぜ?色々な所を回ってきたさ。例えばほんの少し未来のこの部屋に行ってきた。」
○「へえー。じゃこれから何が起こるのかわかったんだ。」
●「うん。10分後の世界では、お前が俺に土下座してた。その後二人で飯を食いに出てた。」
○「しねえよ!土下座なんか。…まあ、飯を食うのは時間的にはあり得るけどな。さっきの理屈よりは随分慎重だな。」
●「まだ信じてないだろ。本当に土下座してたんだって!観て来たの!」
○「わかっちまった以上絶対やんねえ。あと5分土下座しなきゃいいんだろ。楽勝じゃん。未来を変える男、なんつってな。」
●「未来は変えられないんだぜ。ほら、あと3分。何だか無性に俺に土下座したくなってこない?」
○「なんねえ。」
●「んー、例えば急に過去の悪事を思い出して俺に謝りたくなるとか。」
○「お前に悪事なんか働いてないって。」
●「あるだろ少しくらい!えーと、例えばー、お前の車の合鍵を無断で作ってお前が車止めて俺の家に居る間にこっそり車を駐車禁止の場所に止めてみたりとか。」
○「あれお前か!いくら取られたと思ってんだよ!てゆうか犯罪じゃねえか!うわマジでムカつく!あぁもう絶対土下座なんかする可能性消えたね!今ので!むしろお前が今土下座して俺に謝れ!」
●「ああっしまった。」
○「しまったじゃねえよ!待てこの野…」
●「…どうした?」
○「うごくな!!…コンタクトが落ちた。」
●「何だと?!」
○「う、動くなよ、動くなよ、そのままの姿勢で…。えーと、レンズ、レンズ…。」
●「ぽーん。時間でーす。」
○「あ、ああ!土下座してるうう!」
●「ほら、俺の言った通りだったろ?ちゃーんと、タイムマシーンで見てきた通りだ。」
○「…まあ、そうな。」
●「まだ信じてないのか!」
○「時間を見ながら俺を挑発して何か落とさせるという作戦なら、やれない事はないよな…。まあ都合良く落ちるかどうかはわからんけど。」
●「あ、じゃあ車の話は」
○「それは信じる。」
●「それもついでに疑えよ。」
○「語るに落ちたな!」
●「えっ?!」
○「今の発言で全部嘘って事が証明されたようなもんだぜ!」
●「ち、違う!違うんだ!本当に、…本当に、嘘ならいいなあって、今は思ってる。」
○「ど、どうしたんだ?急に。」
●「いや、俺の作ったタイムマシーンはさ、そんなに精度の高いもんじゃないんだよ。そんな10分後なんて気楽に飛べるような乗り物じゃないんだ。」
○「そ、そういうもんなのか?」
●「ああ。んー、スペースシャトルでお前の家にここから飛ぶようなもんかな。」
○「大掛かりだなオイ!」
●「うん。大体100年くらい一気に飛ばないといけないんだよ。まだ、開発途中だし、乗り心地も悪いし、リクライニングシートもないし。」
○「いやそれは別にいらないだろう。」
●「それで、今回は一度100年くらい昔に戻って、すぐに10分後の世界に行って、帰るためにもう一度100年くらい昔に戻ってから来たんだけどさ。」
○「中国行くのにシンガポール経由するようなもんか。」
●「ああ、まあ、そんな感じ。それで、短時間に過去の世界に二度も行ってしまったせいで、ちょっと、過去を変えてきたかもしれないんだよ。時空間の歪みが到着地点に影響を与えて…」
○「ままま、まあ、理屈はいいよどうせわかんないから。とにかく、お前が未来を変えたかもしれないって事な?」
●「あ、ああ…。」
○「でもさ、お前が出て行ってから帰ってくるまで、ほんの数秒しかなかったけど、別に何かが変わったようには感じなかったぜ?」
●「そ、そうか?」
○「大体そんな、SF小説じゃあるまいし、過去を変えるなんて出来っこないって!」
●「お前まだ信じてないのか!」
○「いやいや信じる信じる。さあ、とりあえずもういいから飯行こう、な。そろそろそういう未来だったんだろ?」
●「いや、本当の話なんだってば!信じろって!」
○「はいはい、信じる信じる。さ、行こ行こ。」
●「う、うん。わかったよ…。」

………。

○「あー食った食った。そろそろ出るか。」
●「ああ、そうだな。」
○「面白いもん見せてもらったし、ここは俺が払ってやるよ。さっき返してもらった金もあるしな。」
●「え、あ、悪いなあ!」

ウェイトレス「ありがとうございます。お二人合計で3260両になります!」
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Author:毒蝮ワン大夫(又はヴァイ)
平和とHORIを愛するナイスガイ。
わりと衝動のままに生きるので日記の方向性が定まらなくて困る。

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